2007-01-01から1年間の記事一覧

ソフトウェア開発工程の区切りが見えない

ソフトウェア開発の場合、開発工程の区切りがよく見えないことがある。例えば、次のような工程(プロセス)の区切りを明確に見分ける方法は存在するだろうか?1.ソフトウェア開発計画 2. ソフトウェア要求分析 3. ソフトウェアアーキテクチャ設計 4. ソフト…

日本の組込みソフトウェア開発はこうすればよい

あるセミナーで、アメリカの有名企業が採用するような学生は、学生時代に『実践ソフトウェアエンジニアリング-ソフトウェアプロフェッショナルのための基本知識』を教科書として学んでいるという話を聞いた。『実践ソフトウェアエンジニアリング-ソフトウェ…

組込みソフト開発失敗の見分け方

大規模組込みソフト開発で開発が失敗する可能性が高いかどうかを見分ける方法を見つけた。このブログでは何度となく、日本の組込みソフト開発は試行錯誤的だと書いてきたが、試行錯誤的なアプローチが必ず開発の失敗に結びつくわけではない。要素技術の検討…

組込みソフトウェアに求められる安全対策

翔泳社さんが「組込みZine 」という情報サイトを立ち上げた。そちらに、『組込みソフトウェアに求められる安全対策』という記事を書いたので今回はそれを読んでいただきたい。この記事は第一回から第四回に分かれており、第一回目は「組込みソフトウェアに求…

「理想なき現実」と「現実なき理想」・・・どちらも役に立たない

「理想なき現実」と「現実なき理想」・・・どちらも役に立たない。このことばは、最近メールを交換させてもらっている、ジョイント・ノア の国広卓生さんのことばだ。まだ、実際にお会いしたことはないのだが、組込みソフト開発での苦労と実績をたっぷり積ま…

活用力がないのは大人も同じ

今年4月に小学6年生と中学3年生およそ220万人を対象に、国語と算数・数学の2つの教科で行われた全国学力テストの結果が報告された。算数では左図のような地図上にある長方形と平行四辺形の2つの公園のどちらが広いかを説明させる問題の正答率が最も低…

マーケティングと商品コンセプト

日経ビジネスオンラインに「ハンズは30年前からロングテールだった!」という和田けんじさんの記事が載っていた。ロングテールとは簡単に言えば、それほど売れ筋ではない商品でもインターネットのようなバーチャルストアーで扱うことで、ながーい期間棚に陳…

顧客満足と価値

10月11日WBCフライ級タイトルマッチで内藤大介と亀田三兄弟の二男亀田大毅の試合が行われ、チャンピオンの内藤大介が初防衛を飾った。亀田大毅は試合中、頭突きやサミング(グローブの指を相手の目に入れる行為)、太ももを狙ったローブローなど反則行為を連…

エンジニアの品格

今回は時事ネタを2つ。その前に、WEBブラウザでこのブログを見ている人は元ブログサイトの右上の「あなたのプロフィールは?」の投票に是非参加していただきたい。このブログサイトを最初に作ったとき、できれば読者との双方向コミュニケーションを実現した…

組込みソフト開発悪循環の構図

組込みソフトウェア開発の悪循環のシナリオを考えてみた。想定する具体的なシチュエーションを示してから、その問題の解決方法について考えていきたい。【組込みソフト開発悪循環のシナリオ】1970 年代、組込み機器開発の世界で、ソフトウェアはハードウェア…

ソフトウェアシステムの分割法

先日、豆蔵のコンサルタントでEEBOFのメンバーでもある井上樹さんと、ソフトウェアシステムの規模のことで話をしていた。自分はプロセスネットワークの金子龍三氏が語っていた30人、30万行以上というソフトウェアプロジェクト、ソフトウェアの規模が分岐点に…

理系白書から考えるソフトウェア工学(つづき)

『『理系白書から考えるソフトウェア工学』の記事のつづき。ソフトウェア工学が自然科学で証明できるものでなく、先人の知恵を体系化したものであるならば、ソフトウェア工学を現場で普及、適用させようとする人々は、ソフトウェア工学が現場にもたらす効果…

トヨタのソフト戦略

ソフトウェア品質シンポジウムの基調講演でトヨタ自動車常務役員の重松崇氏の話を聞いた。トヨタの重松氏はESECなどの組込み系、ソフトウェア系のイベントでよく講演しているのを見掛ける。もともと重松氏はソフトウェア技術者としてのたたき上げではなく、…

理系白書から考えるソフトウェア工学

理系白書には、何しろたくさんの研究と研究者が登場する。研究者達の苦労や待遇、評価の低さについての現状についても興味深く読んだが、自分はこの本が訴えたい内容とは別のところで考えさせられることがあった。それは同じ理系でも自然科学と情報工学・ソ…

モデル駆動開発

SESSAMEで一緒のにしさんがブログでソフトウェアの自動生成を話題にしているので、今回は自動コード生成、モデル駆動開発について考えてみたい。ソフトウェアの自動生成といっても設計行為がいらないわけではない。実際にはUMLなどでモデルを作ってそのモデ…

組込みソフトで勝ちたい人に捧ぐ

今回は宣伝が入っているのでへりくだってですます調でいきますです。さて、技術評論社の 組込みプレス Vol.8 が8月11日に発売になります。特集1− 制約の多い組込みソフト開発−『効率化と品質向上2つのアプローチ』に寄稿&特集記事をプロデュースしたので内…

インドのソフト会社

あるところでインドのソフト会社(組込み系だけも1500人以上いるかなり大きい会社)の話を聞いた。(どんな会社かはこのブログ記事を参照のこと)ソフトウェアの場合、オフショア開発で失敗した話はよく聞くし、CMMのレベル5を取っているからといって組込み…

プロフェッショナルの条件

先日記事の中でピーター・F・ドラッカーの本は斜め読みしにくいと書いた。実際、『マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]』 は斜め読みしにくいと思ったが、買っておいてまだ開いてもいなかった『プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長す…

こころの処方箋

元文化庁長官で臨床心理学者の河合隼雄氏が19日午後2時27分、脳梗塞のため死去した。河合隼雄氏は1928年、兵庫県生まれ。京都大理学部数学科卒業後、米国留学を経て、62〜65年にスイスのユング研究所に留学し、日本人で初めてユング派分析家の資格を…

トム・デマルコの「プロジェクト管理」がわかる本

昨日、久しぶりに池袋のジュンク堂に行った。コンピュータ関連のフロアを一通り眺めてみた感じたのは、組込みソフトの本とテスト系の本がここ2〜3年でかなり増えたなあということだ。組込みソフトの本で痛切に感じたのは、組込みソフトだからといって作る対…

30人以上のプロジェクトはプロがマネージメントしないと倒れる

PMI東京支部月例テクニカルセミナー 組込み系プロジェクトの現状と課題−プロジェクトマネジメントの専門家への要請−(講師 株式会社 プロセスネットワーク 金子龍三 氏)に参加し、今後、組込みソフトエンジニアがどのように対応していけばよいのかイメージ…

自分の成果物は点数で評価してもらえると考える新人

今、「設計の規範の重要性を技術者に実感してもらう」 演習コンテンツをSESSAMEで開発している。内容はいずれ SESSAMEで公開されると思うが、次のような流れを想定している。【Cプログラミングの初心者に対して】 1. ある簡単な仕様を満たす関数をC言語で設…

日本の組込みソフトの作り方の特徴

今回は10万行以下で小中規模の日本の組込みソフトの作り方の特徴について考えてみたい。【日本のすり合わせ開発の特徴】−前提となる環境− * 開発者の入れ替わりがほとんどない。 * 開発者が商品企画から保守にまで関わる。 * 同じ市場に同じような商品を投入…

5000万件と1年

安倍首相が5000万件の年金データの照合を1年で終了させると約束した。この話を聞いて部下は全員ムリだと思っているのに製品の開発を1年でやると宣言してしまうプロダクトマネージャのことを思い浮かべる。この話のポイントは簡単だ。プロジェクト計画を立て…

仕様は変化しやすいが、要求の寿命は長い

先日あるソフトウェア技術者の方から以下のような質問を受けた。【現場の問題点】新製品のソフト設計を最適な手法を模索しながら行っています。仕様の明確化が重要だと思いますが、ハード設計に依存してしまい、洗い出しても保留になることが多くあります。…

カイゼンを実現できる多能工を目指そう!

R30氏のブログ R30::マーケティング社会時評 の記事『ポリバレント=多能工って言えばいいんじゃね?』を読んで、トヨタ生産方式の強みについてどんな人材がカイゼンに向いているのかイメージが沸いた。「Polyvalent:ポリバレント」とは本来は科学用語で、…

組込み機器におけるギャランティとベストエフォート

2007年5月20日付けの毎日新聞朝刊に「時代の風」というコラムがあり、東大の坂村健先生の写真が載っていた。坂村先生の写真は ESECとかETのパンフレットやWEBサイトではよく見掛けるが、新聞のコラムで見たのは初めてだった。コラムのタイトルは『デジタル・…

日本人はリスクを表に出すのが嫌い?

プロジェクトの会議に参加していると、ソフトウェアエンジニアはリスクがあるにもかかわらず上にリスクを言いたがらない傾向があるような気がする。日程が遅れるというリスクを言いたがらないのは心情的に分かるが、技術的なリスクやプロジェクトのリスクは…

スキルの伝承は8割以上の企業が不十分な状況

日経ものづくり 2007年4月号の “数字で見る現場” という連載で「スキルの伝承は8割以上の企業が不十分な状況」という記事があった。Q1 【技術者が必要となる知識やノウハウ、技能などのスキルがベテランから若手へと十分に受け継がれているか】という問いに…

組込みソフトエンジニアが読むといいデジタル回路の本

久々に「この本は買いだ!」という本に出会った。それは、『デジタル回路の「しくみ」と「基本」』という本だ。組込みソフトエンジニアで電気設計担当の技術者と仕事で話をする機会がある技術者はこの本を買って最後まで読むと、彼らの言っていることが「あ…