今後の記事の掲載について

本ブログの読者の皆様へ本ブログの記事は今後は下記のブログサイトでご覧ください。組込みソフトウェア工房 http://embeddedsoftwaremanufactory.blogspot.jp/よろしくお願いします。2012年5月27日 酒井由夫

医薬品業界における Computerized System のガイドライン

今回は医薬品業界におけるコンピュータシステムのガイドラインの話を書こうと思う。この話は、近い業界である医療機器業界にも関係あるのはもちろんのこと、自動車業界にも参考になるはずだ。まずは歴史的背景から。1990年台初期に米FDAは英国を中心にEUの大…

100%の安全が確保できないからルンバを作らない?

今回は ISO 26262 の記事ではない。特集記事8回、関連記事3回書いて分かったのは、規格の日本語訳には膨大な時間がかかり、規格をすべて和訳するのはあまりにも効率が悪く、自分自身のモチベーションもなかなか続かないということだ。これだけ話題になってい…

ISO 26262との向き合い方 (8) リスク分析しないでいいの?

今回の記事は リスク分析、リスクアセスメントについての話題である。※図表はもとブログをご覧ください。最初に、医療機器ドメインのリスクマネジメントに関する国際規格である ISO 14971:2007 Medical devices ― Application of risk management to medical…

ISO 26262との向き合い方 (7) 自動車ソフトの未来予想図

正月休みの間、自動車業界が直面するであろう安全ソフトウェアの問題(=自動車ソフトウェアの未来予想図)について二つのシナリオ考えてみた。まずは、これら未来のシナリオを読んでみていただきたい。■シナリオ1 電気自動車の時代 の不具合 2020年、電気自動…

ISO 26262との向き合い方 (6) 機能安全のマネジメント2

今週、下記のような記事が Tech-On! に掲載された。(読むには無料のユーザー登録が必要)【専門記者が振り返る】要件管理とトレーサビリティ、この1年――ISO 26262適合で日本でもツール基盤の導入進む変更管理や構成管理はここ10年で浸透した。要件管理はこ…

ISO 26262との向き合い方 (5) 機能安全のマネジメント1

ISO 26262 に関するアンケートで 「 お金や工数がどれくらいかかるか知りたい。」に5票入っていた。そこで、インターネットでいろいろ調べてみたら、アメリカの KVA という会社が ISO 26262 のトレーニングのオーダーシートを公開しており、そこに金額が書か…

ISO 26262との向き合い方 (4) 用語の定義からのトピックス

ISO 26262-1:2011 Part 1: Vocabulary を邦訳しようと思ったら用語が142もあって、さすがに一晩や二晩でできる分量ではないことが分かった。用語の定義の邦訳(全体)については正月明けを目標にリリースを目指したいと思っている。ちなみにVocabularyは用語…

ISO 26262との向き合い方 (3) 規格認証とスコープについて

ISO 26262 に関する記事をもっと書いて欲しいという意見が多いので、しばらくこのテーマを続けていこうと思う。今後の構想としては、1. 一般的な話題 2. 規格の内容と考察 という記事構成で進めようかと思っている。では【規格認証について】ISO 26262 に関…

ISO 26262との向き合い方 (2) イントロダクションを読む

自分は組織内で次の(2)の立ち位置にいる。(1) 規格適合を求める外部機関→(2) 組織内の規格適合推進者→(3) 現場のソフトウェアエンジニア(1) と (3) の間にあって、現場には時には厳しく、時にはエンジニアと一緒になって作業をしたり、目的に導くための教育…

ISO 26262との向き合い方 (1) 最初に読んで欲しいこと

まず、自分が ISO 26262 にこだわっている理由を書こうと思う。自分は医療機器ドメインのソフトウェアエンジニアとしてのキャリアが24年である。そして、約20年前、自分がソフトウェアを担当した製品が、FDA(アメリカ 食品医薬品局)の定期査察で査察の対象…

ソフトウェア系の国際規格はどのように使うのか(2)? (ISO 26262 が

前回に引き続き、ソフトウェア系の国際規格(ISO 26262)がどのように使われるのかを解説したいと思う。自分は自動車ドメインの仕事はしていない。しかし、ソフトウェア系の国際規格には長いことつきあっているので、おそらくこの見解は当たっていると思う。…

ソフトウェア系の国際規格はどのように使うのか? (ISO 26262 が正式

自動車の電子制御系に関する機能安全規格「ISO 26262」が、6年間の策定期間を経て、2011年11月15日ついにISOの正式な国際規格となった。下記が Tech-On! で報じられた記事である。『クルマの機能安全規格のISO 26262がついに正式発行』自分は自動車ドメイン…

スティーブ・ジョブズの伝記を読んで

iPad で Steve Jobs ⅠⅡを読んでいる。現在はⅡの頭の方で、スティーブ・ジョブズが一度 Apple から追い出された後復帰してApple を立て直そうとしているところだ。この本(電子書籍)を読んでいると、途中で無性に Apple ⅡやMacintosh、ジョブズの演説、有名…

技術書の現在と未来

2006年3月に『組込みソフトエンジニアを極める』を書いてからはや5年が経過した。このブログ自体、この本の読者と双方向で情報交換をするために書き始めたことを思い出す。第一回目の投稿は今でもここに残っている。この本が出版されるまでは自分も技術書の…

ソフトウェアアーキテクチャの改善はなぜ進まないのか

ソフトウェアエンジニアでない人にはピンとこないかもしれないが、ソフトウェアのアーキテクチャ(構造)を改善するということには意味がある。家が完成してしまうと外面からはどのようなアーキテクチャ(構造)でその家ができているのかがよく分からなくな…

「部下に任せないとダメだ」と考えさせられる一冊(その2)

小倉 広著『任せる技術』を読み進んだので前回に続き感想と思ったことを書こうと思う。小倉氏は CHAPTER 3 任せる、と伝える の中で、「人生のビジョンがない部下には任せられない」と書いている。仕事を任せる時には部下に自分からジャンプさせ選ばせる。し…

「部下に任せないとダメだ」と考えさせられる一冊

いま『任せる技術』という本を読んでいる。プレイングマネージャを自負している方には是非読んでいただきたい一冊だ。まだ最初の方だけしか読んでいないが、とても心に響いている。【CHAPTER1 ムリを承知で任せる より 引用】 そもそも部下の仕事とは「今日…

「それは仕様です」とは絶対に言ってはいけない

浜岡原発の停止に際して、中部電では「(対策が済む)2年後に本当に再開できるのか確証がほしい」(中部電幹部)と、政府に何らかの保証を求めるべきだとの意見が出ているという。これを聞いて「ああ、やっぱりそういう考え方をする人はいるのだな」と思っ…

是正・予防駆動のプロセス改善アプローチ

ソフトウェアの開発をし商品に実装し、その商品を売って対価を得て、最終的にサラリーをもらう。ソフトウェアの一行一行の向こうには、そのソフトウェアを使うユーザー(お客様)がいる。それが医療機器などのクリティカルソフトウェアであった場合、そのソ…

事故の再発を防止する技術

3月8日の金曜スーパープライム「池上彰くんに教えたい10のニュース」のラストで3月一杯でTVの仕事から離れる池上彰氏が、「自分が生きている間にベルリンの壁が崩れるなどとは思っていなかった。チュニジアのデモからエジプトのムバラク大統領の退陣までこん…

安心・安全を担うソフトウェアを実現するには

東北関東大震災で被災された皆さまにお見舞い申し上げます。このブログで自分自身の業務ドメインについてクリティカルデバイスのソフトウェア開発を行ってきたと書いてきました。クリティカルデバイスとは医療機器のことです。これまで、ブログの記事投稿や…

『課外授業 ようこそ先輩』で湯浅誠さんが言いたかったこと

深夜のサッカーの試合を生で見る元気がなく、朝起きてから結果を見ようと思ってテレビをつけたらたまたま、NHKで『課外授業 ようこそ先輩』をやっていてついつい見入ってしまった。【番組ホームページより】 さまざまなジャンルの第一線で活躍する著名人が、…

機能安全の意味がわかった(IEC61508とISO26262の最新情報)

クルマ関係の仕事をしている技術者は日経エレクトロニクス 2011.1.10 の特集記事『クルマの電子安全始まる-ISO26262を越えて-』を必ず読んでほしい。機能安全規格IEC61508と自動車の電子制御系に関する安全規格ISO26262の概念について詳しく解説されている。…

NHKの「就職難をぶっとばせ!」を見て

2010年12月25日クリスマスの日にNHKで『日本の、これから「就職難をぶっとばせ!」』という2時間の討論番組がオンエアーされた。もちろん、超氷河期と言われる就職活動がテーマなのだが番組を見終わって、これは学生の就職という限れれた範囲の問題ではなく…

やっぱり手帳がいい

斎藤孝氏の著書『15分あれば喫茶店に入りなさい』には、喫茶店に持ち込んではいけないものとしてノートパソコンが挙げられているそうだ。喫茶店の15分間という時間と空間を作るとアイディアが生まれるという。生まれるというよりは、アイディアを生むための…

新人と就活

今年の新人達がプレゼンするのを聞いた。ものすごくうまい。本当に信じられないくらいうまい。最近は個人情報ということで、どの大学の何を専攻してきたのか、学卒か院卒かも公開されないからプロフィールがまるでわからないが、プレゼン慣れしているのは確…

ソフトウェア品質を高く保つには哲学が必要

前回の記事『商品リスクを低減するには哲学的思考が必要』に関して、もう一回同じようなことを書いた文章がありますので、ご一読ください。誰がどこに書いた文章かはご想像にお任せします。 - 明治大学理工学部に向殿政男先生という方がいます。著書のひとつ…

商品リスクを低減するには哲学的思考が必要

日経ものづくり 2010年8月号 の特集記事『ソフトが揺さぶる製品安全』の中で明治大学理工学部情報科学科教授の向殿政男氏が次のように語っている。日本の企業はこれまで、この考え方で実績を積み上げてきた。「日本製品は壊れにくい」という評価は、まさにこ…

Random Failures と Systematic Failures の違い

IEC 61508(機能安全)の中に、Random Failures (ランダム故障)と Systematic Failures (決定論的原因故障)の定義がある。 IEC 61508(機能安全)の定義そのものではなく、総合的にどんなことを意味しているのかいろいろ調べて考えてみた。そうすると、…