2010-01-01から1年間の記事一覧

NHKの「就職難をぶっとばせ!」を見て

2010年12月25日クリスマスの日にNHKで『日本の、これから「就職難をぶっとばせ!」』という2時間の討論番組がオンエアーされた。もちろん、超氷河期と言われる就職活動がテーマなのだが番組を見終わって、これは学生の就職という限れれた範囲の問題ではなく…

やっぱり手帳がいい

斎藤孝氏の著書『15分あれば喫茶店に入りなさい』には、喫茶店に持ち込んではいけないものとしてノートパソコンが挙げられているそうだ。喫茶店の15分間という時間と空間を作るとアイディアが生まれるという。生まれるというよりは、アイディアを生むための…

新人と就活

今年の新人達がプレゼンするのを聞いた。ものすごくうまい。本当に信じられないくらいうまい。最近は個人情報ということで、どの大学の何を専攻してきたのか、学卒か院卒かも公開されないからプロフィールがまるでわからないが、プレゼン慣れしているのは確…

ソフトウェア品質を高く保つには哲学が必要

前回の記事『商品リスクを低減するには哲学的思考が必要』に関して、もう一回同じようなことを書いた文章がありますので、ご一読ください。誰がどこに書いた文章かはご想像にお任せします。 - 明治大学理工学部に向殿政男先生という方がいます。著書のひとつ…

商品リスクを低減するには哲学的思考が必要

日経ものづくり 2010年8月号 の特集記事『ソフトが揺さぶる製品安全』の中で明治大学理工学部情報科学科教授の向殿政男氏が次のように語っている。日本の企業はこれまで、この考え方で実績を積み上げてきた。「日本製品は壊れにくい」という評価は、まさにこ…

Random Failures と Systematic Failures の違い

IEC 61508(機能安全)の中に、Random Failures (ランダム故障)と Systematic Failures (決定論的原因故障)の定義がある。 IEC 61508(機能安全)の定義そのものではなく、総合的にどんなことを意味しているのかいろいろ調べて考えてみた。そうすると、…

ソフトウェア品質論の歴史的推移

日科技連主催のソフトウェア品質シンポジウム2010(SQiPシンポジウム2010)で広島市立大学の大場充先生が、品質論の歴史を解説するセッションがあった。非常に興味深い内容だったのでここに概要を紹介したいと思う。■品質という概念の推移(概要) 「不良を…

日経ものづくりはソフトウェアには関係ないと思っている人も日経ものづくり8月号は単品(1400円)でも買った方がよい。なぜなら、プリウスのブレーキ制御問題について、これまでになく詳細な情報が掲載されており、問題がなぜ起こったのかを推察できるからだ…

ジョン・コッターの企業変革ノート

ソフトウェアに関する改善活動を行っていると、テクニカルなことでは解決できないことにすぐにぶつかる。そこでいろいろなことを試してみるのだが、つい最近『ジョン・コッターの企業変革ノート』 という本に出会った。久しぶりに付箋を手にしながら読んでい…

人財と人罪

あるセミナーでおもしろい図を見た。「じんざい」を四つの象限で表した図だ。縦軸はモチベーション、横軸はスキル。 モチベーションが高く、スキルもある場合は組織の財産という意味で人財 スキルは高いが、モチベーションが低い場合は単なる材料という意味…

問題解決の方法を100パターン作っておかないと動けない人材

今、組織が欲しい人材は、目的を示すことで自分の持ち駒(経験)を組み合わせて実現する方法を見つけ出すことができる人だ。その対極に具体的な手順を示さないと動けない人がいる。例えば、目的はひとつ、工程が2つあって、それぞれの工程内での活動の選選択…

情熱とスキルと市場が重なり合うところ、あなたはそれを見つけられた

情熱とスキルと市場が重なり合うところ、あなたはそれを見つけられたでしょうか? 組織カイゼンにめげているとき、閉塞感に悩まされているとき、やろうかやるまいか迷っているとき、今自分が読んでいる本『20歳のときにしっておきたかったこと』を読み返して…

自動化がいつも優れていると思ったら大間違い

我が家の冷蔵庫の自動製氷機が数ヶ月前に壊れた。もう7年も使っているから壊れても不思議ではない。一通り調べてみたがどこが悪いのか分からなかったのであきらめて使わないことにした。持ち運びできる家電なら修理に出す選択肢もあったが冷蔵庫ではそうはい…

トヨタ自動車は19日、ハンドルが一時的にタイヤと連動しなくなる不具合があるとして、レクサス4車種のリコールを決めた。今回もプリウスのときと同様にソフトウェアの複雑性が絡んだ問題のようだ。【レクサスホームページより引用】 レクサスLS460、600hのお…

『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』の感想

4月に感想を送っていただける方に『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』を進呈するキャンペーンを実施した。本を読んでいただいた yuri_at_earth さんから感想が送られてきたので紹介したいと思う。【『リコールを起こさないソフトウェアのつくり…

人は教育によってどれくらい変われるか?

4月5月は教育計画を立てる時期ではないだろうか? その時期にいつも思うことは「人は教育によってどれくらい変われるか?」ということだ。教育によって知識を増やすことは可能だ。しかし、知識を増やすだけでは組織内の問題はなかなか解決しない。今の世の中…

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』を見て

今週はもうひとつ映像コンテンツの感想を書こうと思う。NHK で4月23日(金)19:30に放送された特報首都圏「“ひとり”が恐い」というテレビ番組を電車の中でラジオで聞いた。ゲスト : 土井隆義 キャスター : 中野純一 ひとりでは学食に入れないという若者が…

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』を見て

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という映画をTSUTAYAでレンタルして見た。あまりに内容がドラマティックだったので、これはどこまで脚色されているのだろうかと思って、もとのスレッドがまとめられているwikiサイトで記述をざっ…

組込み開発現場のプロジェクトマネジメント&プロセス改善

『組込み開発現場のプロジェクトマネジメント&プロセス改善』を読んだ。この本は以下の6つのパート&著者から構成されている。■Part 1 新人管理者のためのマネジメントの基礎知識 著者:井上 樹(いのうえ たつき) (株)豆蔵にて組込ソフトウエアを中心にオブ…

ものづくりに関する共感した話し

何を隠そう自分はものすごいラジオ好きである。通勤の間、風呂に入っているとき、寝る前、朝早く起きてしまったときラジオのスイッチを付ける。一日のうちテレビを見ている時間よりも圧倒的にラジオを聞いている時間の方が長い。さて、3月28日(日)の夜、何気…

プリウスブレーキ制御ソフト改変についての考察 (新情報)

日経BP社から『不具合連鎖-「プリウス」リコールからの警鐘』が出たので早速注文して読んでみた。プリウスのブレーキ制御に関して新たに分かったことがあるのでそれについて考察してみようと思う。【回生ブレーキと回生協調ブレーキについて】ハイブリッド車…

和製ピープルウエア

今回リリースした本『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』が、和製ピープルウエアなどというと見識者から「何を思い上がっているのか」と怒られそうだが自分自身はそう思っている。今回はなぜ、そう思っているのかについて書いてみたい。『ピープ…

リコールを起こさないということ

本はリアル書店でもインターネット書店でもまず手にとって興味を示してもらわなければその他の本の中に埋もれてしまい誰にも目に触れずに日の目を見ることなく消えてしまいます。だからこそ、手にとってもらうために奇抜なタイトルを付けます。タイトルに引…

『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』を出版しました

技術評論社さんから『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』を出版しました。『組込みソフトエンジニアを極める』を2006年にリリースして以来4年ぶりの新刊本です。※今回はですます調でいきます。タイトルがタイトルだけにやけにタイムリーと思いに…

練習が必要なのはオリンピック選手だけじゃない

バンクーバーオリンピックでは数々の名勝負が繰り広げられた。なかなか見応えがあったが、選手のみなさんがこれまでさぞたくさんのトレーニングを積んできたに違いない。スポーツは練習しなければうまくならない。スポーツだけではない。人間がやるもの何で…

ソフトウェアの特性を考慮せず事故が起きた事例

【1985年〜1987年に起こった放射線治療器 Therac 25(セラック25)の事故】Therac-25は高エネルギーの透過性放射線を患者の身体の奥に照射し、周囲の組織を傷つけることなくがん細胞を破壊する装置で、巨大なアームの照射口からは、電子線とX線の二種類の放…

アメリカ人に責められたらサムライになれ

20年以上前アメリカ人の監査官とソフトウェア品質についてやり合ったことがある。自分の作ったソフトウェアに対していろいろ質問され、こんな性格だから自信持ってキッチリ答えたつもりだった。だけど、判定はクロだった。そのときはなぜダメなのかまったく…

プリウスブレーキ制御ソフト改変についての考察 (訂正)

プリウスのブレーキ制御に関しては次々に新しい事実が分かるので過去の考察を訂正していかないといけない。【いろいろな事実を総合して分かったこと(訂正を含む)】 この問題はたぶんソフトウェアのデグレード(変更によって今まで動いていたところが動かな…

プリウスブレーキ制御ソフト改変についての考察 (まとめ)

トヨタは社長と副社長が 2月9日の記者会見で、今回の問題について客観的なデータをもとに論理的に発生する現象及び原因を説明していた。新聞やテレビの記者はエンジニアではないから、この技術的な説明の部分を全部すっ飛ばしてしまう。ラジオで聞いた制動力…

プリウスブレーキ制御ソフト改変についての考察 (その後)

2月7日、フジテレビの夜『情報エンタメLIVEジャーナる!』で、プリウスのブレーキ問題を再現していた。テレビはすごい。現象を再現できるユーザーを捜し出したのだ。場所は完全な雪道でスピードは30km/h くらいからゆっくり減速している状況で、カーブなどに…